「Bizスポワイド」に出演した話(1)

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5月7日(金)に、NHKの「Bizスポワイド」に出演しました。
その1週間前の4月30日(金)に出演依頼があり、迷った挙句、出演することにしました。

私は、雑誌やウェブなどの仕事はしていますが、テレビは経験がないうえに、生放送で55分と長いので、不安でした。
以前、スカイパーフェクトTVのIT系のチャンネルが取材に来るなどして、撮影された経験が何度かあります。練習のときはよくても、撮影の明るいライトにカッと照らされると緊張し、たどたどしくなり、短い言葉で、分かりやすく、にこやかに説明するのはかなり難しいなと感じました。
「Bizスポ」は、スタジオなので、そうとう明るいだろうし、生放送でちゃんと喋れるか不安でした。

しかし、内容的には、おもにBOPビジネスの可能性と課題に関して、中小企業やベンチャー企業にとってどうなのか、コメントする、ということでしたので、いろいろ話はできそうでした。
中小企業やベンチャー企業に関しては、この24年間、たくさんの企業、企業家を拝見し、関わってもきました。
出会ったときは、自宅マンションの1室で1人でやっている企業家、あるいは、数名で会社を始めたばかりの企業家が、やがて上場したり、世界に羽ばたくのも見ています。
逆に、有望な企業家が事故で亡くなったり、飛ぶ鳥を落とす勢いの企業が大変なことになるなど、さまざまな浮き沈みを見、また、体験もしてきました。

加えて、BOPビジネスに関しては、ここ数年注目を集めている社会企業家や、これからの日本のあり方にも関係する部分、若い人と社会貢献などに関しても話ができるかもしれないと思いました。

そこで、かなり緊張するだろうとは思いましたが、これもチャレンジだと思って、出演させていただくことにしました。

当日は、ギリシャ問題で世界中の株価が下落したため、急遽、その話題も入ることになり、盛りだくさんとなり、コメントの時間も少なくなりました。

あとで、番組の録画を見ると、自分は、顔が恐い、愛想が悪い、やはり言葉が足りず意味不明になっている、などと感じました。
しかし、出演を通じて、テレビ制作の現場、舞台裏を垣間見ることができ、いろいろ発見もし、大変勉強になりました。

          ◆ ◆ ◆

番組は、下記のような内容でした。
 ・ギリシャ問題
 ・イギリスの総選挙
 ・BOPビジネス
(・スポーツ)
 ・預かりビジネス

◆ギリシャ問題

この日(5月7日)、ギリシャの財政危機に端を発した信用不安で、世界中の株価が下落し、日経平均も今年最大の下落幅を記録した。

・ギリシャは、EUでそれほど財政規模が大きくない国なのに、なぜ大きな影響を与えているのか?
(飯田香織さん=NHK記者 解説)
ギリシャの国債の約7割は海外の投資家、たとえば、ドイツ、フランスの金融機関などが持っている。
万一、ギリシャ国家が破綻すると、それらドイツ、フランスの金融機関などが損失を受け、ヨーロッパの実体経済に影響が広がる懸念がある。
また、財政赤字が深刻なのは、ギリシャだけではない。ポルトガル、スペインの国債が格下げされ、市場はヨーロッパの負の連鎖を懸念している。ユーロの通貨の信頼がゆらいでいる。
さらに、リーマンショック以降、EUでは財政規模の大きいドイツ、フランスなども自国の景気対策を行なっており、財政状態が厳しくなっている。
これら、1)ヨーロッパの実体経済への悪影響の懸念、2)ユーロの信頼のゆらぎ、3)ドイツ、フランスなどの財政状態も厳しくなっていることに対して、不安が広がっている。

・ギリシャの問題が、EUのみならず、日本の株価にも影響を与えているのはなぜか?
(伊藤さゆりさん=ニッセイ基礎研究所主任研究員 解説)
ヨーロッパの金融機関の問題として、サブプライム危機以来、損失問題が潜在的にあるが、さらに負担が加わって、世界的な金融システム不安を再現させるのではないかという恐れがある。
また、ギリシャの問題は、昨年の12月ぐらいから表面化しているが、EUが有効な対策を立てられず、危機に歯止めをかけられない。それによって、ユーロ安が進み、結果として、輸出大国、ドイツの輸出競争力が上がり、日本(とくに輸出企業の収益)にとって大きな影響を与えている。

(飯田香織さん 解説)
企業には、ユーロ安に加えて、また世界経済が冷え込むのではないかという心配がある。

・ギリシャ問題は、今後どういうふうに展開するのか?
(伊藤さゆりさん 解説)
財政再建プログラムは、約束を履行しないかぎり、次の援助が行なわれない。3年ぐらいにわたるプログラムで、国民に痛みを強いていく、非常に厳しいチャレンジである。
また、今回、EUとユーロの矛盾が露呈した。1つの通貨を共有し、金融政策も1つだが、財政は別々。互いの国が相互に干渉していくということだったが、今回のように、なかなか困難。EUが再発防止と危機管理のフレームワークを確立できるのかも、チャレンジとなる。

(野口悠紀雄さん=早稲田大学大学院教授 解説)
日本の輸出産業に悪影響がある。
また、今、中国に対する輸出が非常に伸びているのはドイツなので、日本との競争に影響が出る。
この問題の基本は、ギリシャがユーロに入っているということ。普通、財政赤字が拡大すれば、その国の通貨が下落して、インフレが起き、解消される。しかし、ユーロに入っているため、自国通貨を下落させられない。経済的な手段がないため、政治的に非常に厳しい財政再建をやらざるを得ない。

◆イギリスの総選挙

この日(5月7日)のヨーロッパでのもうひとつの大きなニュースが、イギリス下院の総選挙。保守党が第一党になったものの、過半数を獲得することはできなかった。
選挙の最大の争点は「財政再建」。イギリスの現在の財政状況は、戦後最悪とも言われ、国債の格付け(トリプルAの最上級)が下がる懸念(ソブリン・リスク)も出てきている。

・イギリスの財政赤字がなぜここまで膨らんでしまったのか?
(伊藤さゆりさん 解説)
イギリスは15年にも及ぶ、長期の景気拡大を実現していた。その原動力となったのが、金融業の規制緩和。多くの海外の金融機関の活発な活動を奨励して伸びていった。世界の金融センターになった。
ところが、金融危機をきっかけにして、その強い部分が弱味になった。経済成長率も大きく後退し、財政も歳入面で、金融業に頼るところが大きかったので、財政赤字が深刻になっている。

・イギリスの状況は、政治不信や膨大な財政赤字など、日本に似ているが、日本とはどこが違うのか?
(伊藤さゆりさん 解説)
イギリスは、金融立国ビジネルモデルが崩れ、これから先の道筋ということでの危機意識が強い。
財政の問題は、イギリスのほうが注目されているが、絶対的な数字は、日本のほうが深刻。日本の国債は国内で消化されているが、長期的に見ると、高齢化が進み、その構造が維持できるとは限らない。

・イギリスの今後の道筋は?
(伊藤さゆりさん 解説)
金融依存から、産業のバランスを改善しようと言っているが、一筋縄ではいかない。

(野口悠紀雄さん 解説)
日本の2010年度予算の国債発行額は44兆円だが、埋蔵金で手当てしている部分が10兆円あるので、実質的には55兆円と考えるべき。
仮にこれを、消費税の増税で消去しようとすれば、単純計算で、27%上げる必要がある。今5%だから、32%になる。
しかも日本の税収は、10年間ずっと落ち続けている。法人税は、数年前15兆だったのが去年は2兆円までになってしまった。問題の深刻さは、イギリスとは比較にならない。
イギリスの金融は難しい問題だが、世界の金融機関がロンドンで仕事をしており、世界がその機能を必要としているから、イギリスの未来は明るいと思う。

・日本はどうしていったらいいか?
(川嵜 解説)
新しいビジネスや産業を興すことが非常に必要ではないかと思う。これまでの産業構造や手法にしがみついていてはもうダメだと感じる。

(野口悠紀雄さん 解説)
財政の問題は、結局は経済の問題。将来経済成長ができるかどうか。それができないから問題。
今の日本は、古いタイプの産業を支えるために、一時しのぎの政策をやっている。そこをどう変えられるかが問題。

          ◆ ◆ ◆

さらに、この後、「BOPビジネス」「預かりビジネス」と続きますが、それに関しては、「『Bizスポワイド』に出演した話(2)」で書きます。

ギリシャ問題、イギリスの総選挙と来て、「では、日本はどうしていったらいいか?」ということに関して、番組で、私のコメントはあまりにも言葉足らずだったので、補足します。

国も企業も個人も、財政を健全化するには、基本的には、収入(歳入)を増やすか、支出(歳出)を減らすしかありません。そして、経費削減だけでは限界があります。難しいですが、中長期的に収入を確保する方法を考えないと、明るい未来は訪れません。

その場合、企業は、既存のビジネス、マーケットで、これまでの構造、方法で、収益を確保するのは厳しいと思います。多くの産業で仕事が減り、単価が下がり、パイの取り合い、レッド・オーシャンになっています。

そして、こういう世の中が変わろうとしているタイミングは、ビジネスチャンスも多いと思いますが、私は、たとえば、ITはこれからが本番で、多くの可能性が溢れていると感じます。

90年代、アメリカは、積極的なIT投資で経済が復活しましたが、日本はバブル崩壊後、IT投資を抑制しましたし、国が企業のイノベーションを推進する政策も不十分だったのではないかと感じます。また、2001年、e-Japan戦略で巻き返しつつあったのに、ネットバブル崩壊で、IT投資は削減され、IT人材に対する待遇も悪くなったのではないでしょうか。

今も、国家レベルでのIT産業のグローバル化の促進、技術者やCIOなどIT人材の育成も不十分ではないかと感じます。
たとえば、「ガラパゴス携帯」を、私は活用しています。「ガラ携」は、日本人が特殊なニーズをもつ、変な人たちだから、日本でしか流行らない、世界のニーズとずれているわけではなく、世界の人たちがその便利さを知らないから、ニーズも持ちようがないということだと思います。
「iPhone」「iPod touch」でも何でも、それが何だか分かっていなければ、欲しくもならないでしょう。
「ガラ携」のみならず、グローバル化できる日本の技術は、じつは少なくないと感じています。

たとえば、電子書籍も、「Kindle」以前にも潜在的なニーズはあったと思います。
ソニーの「リブリエ」が失敗したのは、日本の出版業界の古い体質、先見性のなさだと思います。そして、やり方としては、先に世界に打って出るということもできたかもしれません。

日本は、今も、選挙のネット利用は制限されていますし、公共サービスや学校へのIT導入、中小企業へのIT導入にももっと力を入れてもよいと思います。

          ◆ ◆ ◆

中小企業の話をすると、ひと言で中小企業といっても、大きく3つのタイプがあると思います。

・これまでの産業構造から変化できない企業
これまで、下請け、孫請けとしてやってきて、「この金額で、この仕事をしてくれ」と言われることに対し、たゆまぬ努力を重ね、実現してきています。非常に高い技術をもっているところもありますが、自ら仕事を創り出すことは、これまでしてこなかった(必要がなかった)こともあり、レッドオーシャンのなか、厳しい状況にあります。

・ITを使って変化している企業
ネット通販で新たな市場を開拓したり、ネットで原料を仕入れることによりコストダウンを図ったり、あるいは、ネットで情報を収集し経営に活かしたり、ブログ、ツィッターで情報を発信するなど、ITを使って変化し、勝ち残っている企業もあります。

・新しいビジネスを創る企業(ベンチャー企業)
IT分野、あるいは、別の分野で、ニッチなマーケットを開拓し、ユニークな新商品・ニューサービスを作り出している企業

これらの企業のうち、「変化できない企業」でも、高い技術があり、たゆまぬ努力を重ねてきた企業が潰れていくのは大変もったいないと感じます。
これまでの縦の関係から、横のつながりに変え、他社と連携を図ったり、新たな市場(海外)に出て、生き延びるべきだと思います。その際、プロスポーツ選手の代理人(エージェント)のような仕組みがあればいいのかもしれないとも思います。

いずれにしても、国も企業も個人も、成長は難しくても、せめて赤字にならずに回っていく方法、仕組みを考えないと、文字通り、先はないと感じます。

・NHK Bizスポワイド 金曜ワイガヤ サイト(5月7日 イギリス総選挙から何を学ぶ?)

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