ライフネット生命 出口社長 講演「これからの日本を考える」

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8月30日と31日に、長崎で、ライフネット生命 出口治明社長の講演が行なわれ、聞きに行きました。
8月30日の講演の一部をまとめました。

<セミナーデータ>
タイトル:これからの日本を考える
講師:ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長 出口治明氏
日時:2012年8月30日(木)18:30~20:45
場所:長崎市立図書館

現実を見るための工夫と日本の課題

多くの人は、現状に満足していない。
自分が働いている職場や環境を改善したいと思っている。
そこで、世界をどのようにとらえ、どこを変え、自分は何を担うのかという「世界経営計画のサブシステム」が重要だ。

そもそも人間は、自分が見たいようにしか見れない脳の構造になっているため、現実を見るには工夫がいる。
タテ(時間軸、年、他の時代等との比較)とヨコ(空間軸、同業他社、他地域、他国等との比較)で考え、「人」「本」「旅」から学ぶ必要がある。
また、数字で見なければならない。

今の日本の課題の根本は、異常な少子高齢化で、問題なのは、人口構成の変化だ。
1961年には、65歳以上の人1人を、20~64歳11人で支えていた。男性の平均寿命が65.7歳だったので、支える期間も短かった。
けれども、2030年には1.7人で支えなければならない計算になる。平均寿命が延びて、支える期間も長くなっている。

次に、日本の政治でリーダーが不在なのは、仕組みの問題。「村の論理」の仕組みになっている。適材適所ではなく、順番に担当し、短期間に変わっていく、無責任な仕組みのため。

また、日本経済の問題は、時代に合う産業構造になっていないこと。
日本は、年齢が50歳ぐらいで、体力はないがお金はある状態なのに、20歳の働き方をしている。
つまり、お金に働いてもらう「高通貨、高金利」の政策をとらず、「低通貨、低金利」に固執している。輸出主導経済という20歳の働き方を続けているが、製造業の人件費は、中国は日本の10分の1、空洞化は止められない。
日本が苦しいのは、人口構造と働き方(産業構造)が合っていないからだ。

日本が経済成長を続けていたキャッチアップ型のときは、「統制(中央集権)」「談合(鎖国志向)」という政策でよかったが、今は「分散(地方の自立)」「競争(グローバル志向)」の政策をとる必要がある。が、そうはなっていない。

90年代初め、バブル崩壊後、国際ルールが変わった。量が質を変化させた。
このときに、日銀は時間稼ぎにゼロ金利政策をとった。日本企業は、構造改革を行なうべきだったのに、行なわなかった。そして、今に至っている。

リーダーの仕事

リーダーの3要素は、
 1)何をしたいかという「思い」
 2)丁寧に説明し共感を得る「共感力」
 3)アクシデントのとき、納得ずくで引っ張っていく「統率力(コミュニケーション力)」。
3つ揃っている人はあまりいない。大事なのは1)「思い」で、2)3)はチームで補ったらよい。

組織の生産性を上げるには、メンバーの脳を活性化させること。
そのために、必要なのは、
 1)楽しいこと
 2)ダイバーシティ(人材の多様性)

私(出口社長)の仕事の95%は、社員が「今日も楽しいから会社に行こう」と思う会社にすること。残り5%は決めること。

ダイバーシティとは、自分とは違う、多様な人、変な人がいっぱいいること。女性、若者、外国人をチームに入れたほうがよい。チームで経験、勉強すればよい。

「人は石垣、人は城」という言葉がある。
秀吉が作らせた石垣は、現代の石垣より頑丈だという。それは、いろいろな形の大きな石と、それをつなぐ小さな石をうまく組み合わせて作られているから。
組織も個性を見て組み合わせることが大事。適材適所。部下がとがった大きな石で、上司がそれをつなぐ小さい石になって入ること。上司はとがった石の角を丸くしてはいけない。小さい丸より大きい三角が大事。

組織は、人間は怠け者で、いい加減、意欲は低いという前提で、「仕組み」をつくらないといけない。日本の英語力など個人の競争力が落ちているのも、仕組みの問題。

そして、自分の頭で考えることが大事。人とは違うことを考えて実行することだ。

(この後、ライフネット生命に関するお話がありましたが、もうひとつの講演のまとめに入れます)

          ◆ ◆ ◆

私、川嵜は2007年に、保険流通の新規事業に関する仕事にも携わっていたので、保険業界のことはちょっとだけわかるようになっていましたが、ライフネット生命と出口社長はいろいろ謎だなあと思っていました。なぜ認可がおりたのか、なぜ135億円集まったのか、出口社長のまわりにどういう人がいるのか?

今回、2つの講演が長崎であることを知り、伺って、大変参考になるお話を聞くことができました。
結論から言えば、出口社長は原理原則に則っている「王道」の方だなあと思いました。
そして、今の時代にふさわしい方法をとられていると感じました。

それにしても、「仕組み」はやはり大切だなと感じます。日本を成功させた「仕組み」、行政や企業や、そこで働く人たちを安定させた仕組みが、逆に「安定は情熱を殺し...」、変化や多様性を疎んじ、挑戦しにくくしている面もあるのかなと思います。

いずれにしても、日本人はもう動かないとマズい、動くとどうにでもなるけれども、動かないとどうにもならないと感じます。

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